株式コラム・460 高速取引へ処分
2024年10月25日
金融庁が株価操作で行政処分を下した高速取引。百万分の1秒で注文を出すAIによるシステム売買です。しくみは複雑、イメージをお伝えします。
株価は売りと買いの株数が均衡した値段で成立します。買い玉(ぎょく)が多い場合は値段を上げ、逆なら下げればどこかで均衡する。これが板寄せ方式です。何円に何株の注文が入っているかは「板」に示されます。
高速取引は板寄せ方式を利用してシステムで株価操作を行います。幅広く細かく、百株単位で仕掛けます。板を見ながら発注すると、誰かに見られているかのように自分の注文を邪魔する玉が出てきたり消えたりするのを経験できます。
そんなことでなぜ儲かるのか。確率論ですからAIが負けることもあります。一回当たりの利益は数百円でも、数千銘柄を対象に毎日何回も繰り返すのです。その中で、金商法違反で処分対象となったのは、大引け3時の百万分の1秒前に注文を取り消す株価操作です。こういった無機質な取引が全ての金融市場で跋扈しているのです。【のび太】