株式コラム・431 特殊生き残り戦略
2023年07月28日
日本特殊陶業(東証プライム)が点火プラグ事業と排ガス用酸素センサー事業をデンソーから買収すると発表しました。いずれもガソリン車のエンジンを動かすのに必要な技術です。
捨てる神に拾う神。EV(電気自動車)には全く不要な技術を、一方は手放し、一方は手に入れるのです。この買収で特陶のプラグシェアは世界最大になります。
記者会見では、先細り事業を買い取る意図を「衰退する内燃機関事業をどうやってうまく衰退させるか。衰退させながらいかに新しい事業展開をするかが課題」と答えています。
ガソリン車がすぐになくなるのではないし、点火プラグは交換が必要な部品で需要は安定している。今さら新規参入はありませんから、まだしばらくは魅力的なビジネスでしょう。これで新規事業を育てる資金を稼ぐ目算のようです。
伝統の技が不要になり、職人がいなくなったら僅かに残った人に仕事が集中します。ガソリン車の技術がしぶとく残り、貴重な技術として必要とされる時代が来る。十分にあり得ます。【のび太】