とにかく日本企業の生産性の低さが諸悪の根源のように叩かれます。企業数で99％、従業員数で70％を占める中小企業がいかに効率の悪い商売をしているか。利益は出ないし賃金も上がらない。そういう会社をゾンビ企業という厭な言葉で表現し、「さっさと潰して効率の良い会社に人材が流出した方が日本の生産性が上がる」と宣う人が少なくありません。

　そもそも上場クラスの大企業と中小企業の体質を比較することが間違っています。オーナー社長は自分が資本の出し手ですから自己資本利益率を上げても誰にも褒められない。それより飲み代、ゴルフ、ベンツ、旅行費を経費にしてなるべく利益を出さない、つまり税金を払わないように知恵を絞ります。それが日本の景気を支えてもいますし、非効率な工程を引き受けることで大企業の生産性を高めているのも事実です。

　オーナー社長にとって最優先は会社を残すことです。不景気には自分の報酬を削って社員の給与を払い続ける。このメンタリティは簡単に変わりません。【のび太】