株式コラム・317 関税と海運
2018年09月14日
世界中で関税の報復合戦が始まると、当然、輸出入が手控えられて船での輸送量が減ってしまう。海運会社の業績が悪化する。市場はそう警戒し海運株は冴えない動きが続いています。
ところが、船の運賃は下がっていません。外航の不定期船運賃を表す指数はこの数年、上昇傾向、今も堅調です。
中国から米国へ輸出される鉄やアルミへの関税が実際に増税されたとして、では、米国は中国から買わずに自国で製鉄を再開させるのか。ラストベルト(錆びついた地帯)が復活するか。
USスチールは、一部設備再開を発表しましたが、本格稼働には半年かかり、再雇用は僅かな人数です。むしろ増税前の駆け込み需要で鉄・アルミ価格が上がり、米企業を苦しめる皮肉な結果になっています。
つまり、増税でも中国から米国への輸出は止まらない。仮に貿易量が減っても、そのときは中国に余った鉄がダンピングされどこか別の国へ流れる。結局、船で運ぶ量は減らない。運賃は下がらない。海運会社に痛手はない。【のび太】