投資のヒント175 増資リスク
2012年08月07日
配当利回りが5%を超えるものが百社を超えます。それでも投資家は手を出さない。1%程度の5年社債が飛ぶように売れているのですよ。何をそんなに心配するのか。例えば伊藤忠商事。日本を代表する総合商社の予定配当利回りは5%超え。多少の値下がりなら十分に吸収できます。でも買わない。
ひとつ考えられるのは増資リスク。株主は、突然の増資発表にどれほど泣かされたか。ある日、株価が何の前触れなく下がり始め、不審に思っていたら増資の発表。この繰り返し。増資情報が事前に漏れていると、誰でも気付いていたのです。
企業側にも問題があります。増資は上場企業にとって欠かせない資金調達手段ですが、既存株主を犠牲にして、返さなくていいゼロ・コストの資金を調達できたと勘違いしている経営者がいます。まるで貰った気になり、調達資金を借金の返済に充てるなどもっての外ですよ。投資家として公募増資に応じるときは、それだけ成長力ある企業かを考えてください。
【のび太】平成24年8月7日掲載