投資のヒント139 新日鉄と住金
2011年02月12日
新日鉄と住金の合併で、グローバルな展開で生き残りをかける、と鼻息荒いのですが、その割に株価は初日に上昇した後、伸び悩みです。そのわけは。
鉄鋼は、最大の供給先である建設と自動車業界が先細るなか、頼りは輸出ですが、韓国、中国、インドでの生産能力は確実に上がっています。今はまだ、自動 車向けの高品質なものは日本製が勝っていますが、技術進歩によって、いずれ自国生産で対応できるようになるでしょう。つまり、新興国の鉄鋼需要が伸びて も、だからといって日本からの輸出は伸ないということです。
NKKと川崎製鉄が合併しJFEが誕生したのが10年前。その間、新日鉄と住金は関係を深め、住金と神戸製鋼の生産は全て新日鉄の生産計画に基づいて行 われ、関係会社も含めて実質的に支配されているのです。つまり、今さら合併をしても、改革余地はなく合理化効果はほとんど期待できません。
住金は決して単独で生き残っているのではない。株価はその現実をよく知っています。
【のび太】平成23年2月12日掲載