投資のヒント105 松坂屋の撤退
2009年09月11日
「生活と文化を結ぶ松坂屋」のフレーズは百貨店のあり方をよく表していました。私たちはもう店内に文化の香りを感じなくなり、わざわざ足を運んで高い買い物をするほどの魅力を見いだせなくなったのです。
株主の立場から言えば不採算店の撤退は正しい判断ですが、岡崎に住む松坂屋の千株株主にとっては残念至極でしょう。多くはご年配の女性で、株主優待カードを受け取り、割引価格での買い物を楽しみにしていたからです。
そんな彼女たちも服や食料品など普段の買い物はもっと安いスーパー、イオン、ユニクロ、アウトレット、テレビショッピングなどを使い分け、松坂屋への来店は中元と歳暮と北海道物産展くらいになっていました。
百貨店業界は売上の前年同月比が17ヶ月連続のマイナス。三越+伊勢丹、そごう+西武、大丸+松坂屋と大型合併によって危機を乗り越えようと必死です。三十八年の歴史があろうと、地方の中心街が空洞化しようと、それに気配りする余裕がないのが現状です。
【のび太】平成21年9月11日掲載